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新社会人に捧ぐ教養としての株式投資!「株が分かる人」になれる投資入門本3冊

新社会人に捧ぐ教養としての株式投資!「株が分かる人」になれる投資入門本3冊

社会人になり、学生の頃と比べ収入もあるし、ビジネスの世界に関わるからには株のことも知っておきたい・・・と思っている新社会人は多いのではないか。
しかし、株式投資を始めようと思っても、何から始めればいいか分からないという印象を持つ人がほとんどだろう。

株は、その仕組みを学び、また投資先の決定に際して各企業の決算書などに目を通すようになると、株の値動きや、世の中の経済ニュース、企業経営に関する情報などを理解し、自分なりの考えを持つことができるようになる最高の教材だ。
就活生や新社会人は新聞を読めという決まり文句を目にするが、株を始めれば、他人に言われなくとも自分の利益に直結するため、自然と新聞やニュースに関心を持ち、積極的に情報に触れるようになる。

今回は、少し株に関心があるがどうすれば良いか分からないという人が、株式投資の基礎を理解し、それなりに自分で考えながら投資先を検討することができるレベルに達するために読むべき本をまとめる。
ここで紹介する本を1回読み、証券口座を開けば、晴れて株式投資デビューを果たすことができるだろう。

そして、これまで全く関心が持てなかった経済ニュースや世の中の動向に対して、急に興味が出てくるはずだ。
新聞を毎月講読料を払って読むぐらいなら、そのお金を株式投資に回したほうが、よっぽど社会人としての教養を身につけることができるだろう。




使い物にならない簿記3級の知識を、実用レベルに昇華させる

大抵の企業では、入社時または入社後すぐに、簿記3級の資格を取得することと定められていることが多いのではないか。
学生や、新社会人になりたての人でも、最近簿記3級を取得した人や、これから取得しようとしている人がほとんどであろう。

簿記3級の勉強を終えると、企業の会計の仕組みがちょっとは分かるかも・・・と淡い期待を抱いていても、全然そんなことはないのが現実だ。
簿記の勉強は、実際に経理などで仕訳を行う場合などには確かに必須の知識ではあるが、株式投資のために企業の決算書を見たり、会社の中でのお金の流れを理解するのには、簿記3級では全く役に立たない。
簿記の勉強を積み重ね、決算書を体系的に理解できるレベルに達するには、非常に長い年月と努力が必要であろう。

経理部配属でもない普通の社会人に必要なのは、会社のお金の流れを理解する力、決算書を読むことができる力であって、仕訳をするためのルールを覚えることではない。

正面から勉強しようとすると非常に時間がかかるので、会社のお金の流れを理解し、決算書を読むことができる力を身につける最短ルートを示してくれる本を読んでしまおう。
これでざっと1年は節約できる。

こちらは、会計に関するセミナーなどを行っている経営コンサルタントの國貞氏の著書の中でも、特に有名な財務諸表に関する新書サイズの解説本だ。
「財務3表一体理解法」では、簿記3級の勉強の過程で誰もが学んだであろう貸借対照表の負債の部・資産の部と、損益計算書などが、有機的に結びついていることを非常に分かりやすく示されている。

私自身、大学1年生の時に暇だったため簿記3級を取得したが、期待していたほど会社経営のことや決算書のことを理解できず、無駄な勉強だと感じていたところ、この本に出会い衝撃を受けた。
仕訳の勉強をしているだけではわからなかった会社のお金の流れ(お金を集める、投資する、利益を上げる)が、どのような構造になっていて、それがいかに決算書に落とし込まれるのかを、会計の高度な知識がなくても体系的に理解できる革新的な本だ。

社会人の教養としても必須であるし、株式投資を行う上でも、決算書を読む際に非常にこの本で得た感覚が役立っていると感じる。
簿記3級は勉強したけどさっぱり財務三表や会計のことは分からない・・・という人には、とにかく騙されたと思ってこの本を読んでみることをお勧めしたい。

株用語・株価チャートを理解し、売買注文の仕方を習得しよう

株式取引を始めるにあたっては、基礎的な株の値動きのチェックの仕方や、様々な株用語を理解する必要がある。
これを簡単に学ぶだけで、朝のニュースで意味が全然分からなかった株式に関するニュースが、劇的に理解できるようになる。

例えば、よく見る株の値動きを示すロウソク足付の変な形のグラフの読み方や、「反発」「大引け」「押し目買い」といった言葉を覚えていかなくてはならない。
また、当然ながら、株式取引を行うためには、株の売買がどのように成立しているのか、どうやったら買い注文や売り注文を出せるかなどの基礎知識も必須だ。

そうした売買に必要な基礎知識を、分かりやすくイラスト付きで学べる本を一冊購入しておけば十分だ。

こちらの本は、株雑誌として有名なダイヤモンド・ザイが出している本で、チャートや株用語を初めての人でも非常に分かりやすく解説してくれる。

本の後半では、「テクニカル指標」と呼ばれるものも解説してくれる。
テクニカル指標とは、ごく簡単に言えば、株の値動きを統計的に分析して、その後の値動きを予想する手法で、「〜の指標が〜のような動きをしたら売った方がいい」という傾向を示してくれるものだ。
全てを売買の参考にできるわけではないが、知っておいても損はない知識だ。

「たった7日で株とチャートの達人になる!」と7日間をかけて7つに分かれたパートを読んでいくようになっているが、半日でも十分読み切れる内容である。
何度か目を通して、株式投資の基礎を身につけよう。

決算書を読み込む「ファンダメンタル投資」を始めよう

少しだけ上記で説明した「テクニカル指標」などを用いて、大衆心理や過去の統計的傾向から短期的な売買を行う手法は「テクニカル投資」と呼ばれる。
これに対して、企業の財務状況や、その会社の成長性に基づき、長期的に投資を行う手法は「ファンダメンタル投資」と呼ばれる。

ファンダメンタル投資を行う場合は、主に企業の決算書などを読み込むことで、年々売り上げを伸ばしている「成長株」や、企業の価値が高く、将来性も期待できるのに現在の株価が安い「割安株」を発見し、投資を行っていく。

自分が将来この分野は伸びるのではないか、と期待して投資をしたり、詳しく企業の経営状況を分析して投資を行うことこそが、多くの人がイメージする「投資」の醍醐味であろう。

この記事の最初に、財務三表を理解するための本を紹介したのも、この最も重要な企業のファンダメンタルの分析に資するからである。

とは言っても、やはり決算書を読んで企業の将来性を予測したり、持っている株の売り時を探るなどということは、初心者にとっては非常に難しい。
そこで、そうしたファンダメンタル分析のノウハウをわかりやすく示してくれるオススメの本が「ファンダメンタル投資の教科書」である。

この本は、投資を行う株式銘柄を選び、買い、売るという一連の流れのすべてに役立つ知識を整理して教えてくれる名著である。
会社四季報や、企業が発する決算短信のどこを見ればいいのか、どのような数字が並んでいれば買うという判断を行っていいのか、リスクが高い銘柄にはどのような特徴があるのかなど、ファンダメンタル分析に必要な事柄はざっと網羅されている。

自分の頭で考え、自分で投資先を決定するという「株が分かる人」の入り口に立つにあたって、必須の書である。
堅そうな表紙デザインではあるが、中身は2色刷りで見やすく、イラストなども使われており大変わかりやすい。

何はともあれ証券口座を開こう!NISA口座は開いておいて損はない

証券口座とは、通常の銀行の預金口座とは異なり、株式や投資信託を購入するための資金をプールしておく口座だ。
とはいえ、通常の動作は預金口座のイメージとそれほど相違なく、お金をそこに貯めておくことは変わらないし、証券口座に対して銀行振込を行う用の口座番号も用意されている。

少なくとも、まずは証券会社で証券口座を開かなければ投資を始めることができない。
通常、口座の開設には1週間超はかかるので、株を始めようと思い立ったら、とりあえず最初に証券口座の申し込みを行ってしまうのがオススメだ。

ネット証券であれば、充実したチャートや検索機能、投資用ソフトが用意されていることも多いので、あらかじめ口座・アカウントを取得した上で、本などで株式投資の勉強をしながら、実際に色々触ってみるのが勉強する上でもスムーズだからだ。

また、少し前に話題になったNISA口座は、当該口座で上がった利益が不課税になるお得な証券口座で、通常の証券口座を開くときに同時に開設することが可能だ。
口座を開設する際には、通常の証券口座(年間の損益を証券会社が勝手に計算してくれる「特定口座」を普通は開く)と、NISA口座を両方とも開いてしまおう。

実際に株を売買するときには、購入時に、NISA口座で購入するか、特定口座で購入するかを選択することができる。

手数料の安さ、投資ツールや利便性を重視したオススメの証券会社は、メジャーどころではやはり楽天証券とSBI証券であろう。

楽天証券:Windows・Macで使える投資専用ソフトが無料!

楽天証券は、特定口座での売買手数料も安く、またNISA口座ではすべての株式売買の手数料が無料だ。
楽天のアカウントや、楽天銀行の口座をすでに持っている人なら、非常にスピーディーに口座開設ができる。

何よりも嬉しいのは、「マーケットスピード」という専用の株式売買ソフトが利用できる点。
特に、他の証券会社でほとんど対応されていないMacでも利用できるアプリが用意されているのが非常に嬉しい。

また、iPhoneやAndroidなどのスマホアプリでも売買が可能なので、会社の昼休みやトイレ休憩の際にも売買ができてしまう。

さらに、マーケットスピードでは、過去の日経記事や雑誌記事を検索できる「日経テレコン」に無料でアクセスできる特典が付いている。
日経テレコンが無料で利用できるというだけでも、口座を開設する価値があると言ってもいいであろう。

注意点としては、マーケットスピードを無料で利用し続けるには、30万円以上の資金を預けていなければならないなど、条件が存在することだ。

SBI証券:投資ソフトも使え、SBI銀行の口座も合わせて作れば実用的

SBI証券は、ネット証券の代表格で、楽天証券と同じく売買手数料も安く、NISA口座の手数料ももちろん無料だ。
SBI銀行の口座を持っている人なら、比較的スムーズに申し込むことができる。

残念ながらMac版の売買ソフトは用意されていないが、「HYPER SBI」というWindowsで使える取引ソフトが用意されている。
かつ、iPhoneやAndroidにも同様の売買アプリが用意されているため、モバイルでいつでも株の売買が可能だ。

ちなみに、SBI銀行の口座を持っていない人の場合は、SBI銀行とSBI証券両方で一気に口座を開設してしまうのがオススメ。

というのも、SBI銀行の銀行口座を持っていれば、セブン銀行ATM、ゆうちょ銀行ATM、ローソンのATMなどで、引き出し手数料無料でATMを利用できるため、24時間無料でATMを使えるからだ。
なお、ユーザーのランクによって、ATM手数料が無料な回数が決まるため、無限に無料で下ろせるわけではないので注意が必要。

この3冊を読めば、株取引の初〜中級者を名乗っても恥ずかしくない

今回紹介した3つの株入門書を読み、特にファンダメンタル投資のノウハウをしっかりと身につければ、的確に株の売買を行えるようになるだろう。
そこまでのレベルに達することができれば、十分に中級者と言えるだけの実力を身につけたと言えるだろう。

もちろん、本業のある社会人にはそれほど時間がないため、ファンダメンタル分析の細部まで行うのは容易ではなく、幾つかお気に入りの企業の株を買うだけで終わってしまうかもしれない。
たとえそうであっても、世の中の経済ニュースが急に分かるようになり、自発的に情報を収集したり、経済用語を調べたりするようになるだけでも、それなりに価値があると言えよう。

また、数十万円を投資するだけでも、株主優待で様々な割引券やグッズがもらえる会社もあるので、そうしたことを楽しむのもいい。
自分にとってお得なことや、自分の金銭的な利益が絡むと、やっぱり人は勉強したくなるものである。

社会人の教養として、ぜひ株式投資を始めてみてはいかがだろうか。

Photo credit: Scott Beale via Visual Hunt / CC BY-NC-ND

About The Author

nipponomiaCo-Founder, Writer小松明
平成生まれ。神奈川出身。
米国でパブリック・アイビーの一つに数えられる州立大学への留学を経て、某旧帝大を次席で卒業。TOEIC満点。現在はNGO勤務。

英語の読解力にはかなりの自信があり、海外の学術論文からテック系ニュースまで、日々情報収集している。
主要な関心は日本、英米の社会保障制度。
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