TOEICやTOEFL-iBTで高得点を狙うためには、英単語の暗記は欠かせない。
私は、TOEICは満点、TOEFL-iBTのリーディングは30点満点中29点と、かなりリーディングには自信がある方だ。
こうしたリーディング力の背景には、やはり大学受験の時から築き上げた単語力があると思っている。
今回は、私がこれまでに使用してきたオススメの単語帳と、その暗記法を紹介し、TOEICやTOEFL-iBTで高得点〜満点を取るための語彙力を身につける方法をまとめる。
この記事で紹介する単語帳をやりこめば、TOEICに関しては非常に簡単な英文が多いため、一回のテストで知らない単語が出てくることはほとんどなく、リーディングテストの時間も10分は余ってしまうだろう。
TOEFL-iBTの場合は、テストに登場する英文のレベルが非常に高く、科学や医療の専門用語など、難解な単語が登場することも多いが、十分ついていけるだけのレベルの単語力が身につくであろう。
留学希望者や英語学習者、TOEICやTOEFL-iBTで高スコアを取らなければならない社会人など、英単語に悩む人すべてにオススメできる内容なので、ぜひチェックしてみて欲しい。
全ての基礎になる一生モノの単語帳「単語王2202」
この記事の中では、全部で4冊の単語帳を紹介していくが、英語力維持のために常に復習しておくべきは、この「単語王2202」一冊のみである。
単語王を始め、いわゆる大学受験向けの単語帳は、英文を読む際に必要になる一般的な単語の大部分をカバーしているという点で、非常に優れている。
大学の学部で必要になるような専門用語こそ収録されていないが、普通の英文を読む上では必要十分な量の単語が、一冊しっかりと暗記するだけで一通り学べてしまう。
逆に言えば、このベースとなる部分の英単語力を徹底して固めておけば固めておくほど、この後のあらゆる勉強が楽になる。
例えば大学などで、英文で専門的な勉強をするときには、大学受験向け単語帳で基礎を固めた上に、専門分野の単語を集中的にプラスαとして暗記すれば、英語の論文もわりと普通に読みこなすことができるであろう。
TOEFL-iBTなど難解な英語のテストを受ける際にも、大学受験向け単語帳で基礎を固めた上で、専門的な単語をザッと見て知識を補完するというアプローチは変わらない。
だからこそ、すべての土台となり、今後も何度も繰り返し学ぶであろうこのレベルの単語帳は、慎重に選びたい。
私は、他のどの単語帳よりも、「単語王2202」をオススメする。
その理由は、一つの単語に対応する意味が絶妙な数だけ収録されていること、そして、他動詞・自動詞・名詞などの各品詞まで区別して暗記できることの2点である。
大学受験向け単語帳として最も有名なものは、「ターゲット1900」かもしれない。
ターゲット1900は、一つの単語に複数の意味がある場合でも、ある程度余計な意味をそぎ落として、必要最低限の意味だけを収録している。
そのおかげで、暗記量が少ないため非常に覚えやすく、大学受験に必要な単語が1900個とりあえず分かるようになるという意味で、高校生には非常にありがたい単語帳となっている。
しかし、大学受験にはそれでも問題がないかもしれないが、その後の英語学習のことを考えると、圧倒的に単語王2202の方がオススメだ。
例えば、単語王2202の場合、一つの単語にどれだけ多様な意味が記載されているかを紹介しよう。
- (他)〜と小声で言う;〜をこっそり言いふらす
- (自)ささやく;(悪いことを)内緒話する
- (名)ささやき、ひそひそ話
微妙にニュアンスの違う意味まで掲載され、さらに他動詞・自動詞など重要な品詞の区別も明確に書かれているため、一つの単語の深い意味までも知ることができる。
2202語もの英単語一つ一つにつき、それぞれこんなに沢山の訳語を覚えなくてはいけないとは、正直言って死ぬほど面倒くさい。
しかし、こうした複数の意味を知っているのと知らないのとでは、英語を読むときの理解力に圧倒的な差がつく。
他動詞しかないと思っていたら英文の構造を見失うし、ささやくというニュアンスしか知らなければ、他のニュアンスで使用されているときに英文の意味をまったく違う意味で捉えてしまう恐れがあるからだ。
もちろん、短期間でこれらの意味を全て2202語について暗記できるはずはない。
繰り返し繰り返し復習する中で、全ての単語についてなんとなく複数の意味やニュアンスが頭に浮かぶようになってくるはずだ。
これから先、繰り返し何度も読み直すからこそ、そもそもそこに幅広い・深い単語の意味が「載っている」ことが重要なのだ。
暗記の手軽さだけを求め、他動詞・自動詞の区別もなく単一の意味だけが収録されているシンプルな単語帳を何度やったところで、身につく英単語力のレベルは非常に低いものになる。
単語王2202は、長い付き合いになる単語帳だと思って、単語を学ぶときには常に傍に置いて繰り返し目を通すことを心がけよう。
そうすると、いつの間にか非常に高度な語彙力を身につけることができているはずである。
大学受験からTOEFLレベルへの橋渡し「速読速聴・英単語」シリーズ
単語王2202を繰り返しやり込むだけでも、TOEICに必要な英単語はほとんど網羅できてしまうかもしれない。
実際、私が単語王だけをやった状態でTOEICを受験した際、リーディングは最初から400点を超えていたと記憶している。
しかし、大学などで英語の論文や教科書を読む場合や、TOEFL-iBTテストを受験する場合には、さすがに単語王2202だけでは必要な英単語を網羅しきれない。
こうした、大学受験向け単語帳を基礎にして、英語の論文や英字新聞など実践的な単語の習得へと語彙力を昇華させるために、オススメの参考書が速読速聴・英単語シリーズである。
全体の構成としては、時事ネタを扱うニュースの英文とその訳がページ上部に掲載されており、その英文に登場した単語がページ下部にリスト化されている。
いわば、Z会が出版している単語帳お得意の「速読英単語」スタイルである。
ちなみに、私は英文を見る時間が勿体無いので、リスト化されている単語の意味だけを、単語王などと同じように暗記していくスタイルを採用した。
もちろん、英文と照らし合わせて英単語を覚えたほうが覚えやすいという人は、そうしてもいいだろう。
速読速聴・英単語シリーズのOpinionは、大学受験参考書よりもちょっとだけ難しい、という丁度いいレベルの単語が収録されている。
専門用語というよりは、一般的なニュースや英字新聞に登場するような実践的な英単語が多い。
単語王2202と被る単語も多いため、そうした単語を排除していけばそれほど沢山の新たな単語を暗記しなくても済むはずだ。
速読速聴・英単語シリーズのAdvancedは、シリーズ中で最も難度が高い英単語が登場する単語帳だ。
例えば、胎児に関する英文と合わせてgynecologist(婦人科医)といった専門用語が登場したり、経済ニュースの英文の中からsyndicate(シンジケート、企業連合)という単語が登場したりと、オールジャンルの英文で登場するような基礎的な英単語という範囲を超えて、少しマニアックな英単語が収録されている。
単語王2202、速読速聴英単語Opinionに登場した英単語をカットしていけば、900語程度の暗記で済むはずなので、時間のあるときに目を通して、英単語力の高度なレベルアップを図るのに適している。
マニアックな英単語と言っても、収録されている単語は比較的実践的なものが多く、Advancedを終えてから、英文の教科書や論文を読んでいる中で「あ!これAdvancedでやったところだ」という感覚を得た回数は数え切れない。
OpinionとAdvancedの2冊は、大学受験向け単語帳の暗記を終えたものの、いまいちニュース英語が分からないという人や、英語の教科書などを読んでも知らない単語が多くストレスがたまるという人に特におすすめだ。
いずれの単語帳も、単語王2202のようにがっつり繰り返し暗記するというよりは、時間のあるときに最初から最後まで目を通して、単語の意味を頭の片隅に収めておくという使い方がオススメだ。
速読速聴・英単語のOpinionとAdvancedを終えてからは、大学受験などの「テストに登場する英文」を超えて、ニュースや論文などの実践的な英文がスムーズに理解できるようになり、初めて「英語が使える」という感覚を得たような記憶がある。
超マニアックな単語を”見ておく”「TOEFL TEST必須英単語5600」
TOEICには、専門用語はほとんど登場しないので、単語王2202と速読速聴・英単語シリーズをやりこめば、まず間違いなくTOEICリーディングで満点を取ることはできるはずだ。
しかし、TOEFL-iBTの場合、非常に専門的な英文がリーディングでもリスニングでも多数登場するため、一般的な単語帳をやり込むだけでは、テストの際に山ほど知らない単語に出会うことになってしまう。
こうした高難度の英文を読む際、大学受験の予備校や、高校生たちの決まり文句として「文脈から単語の意味を推測する」というフレーズがある。
確かに、全ての英単語の意味を把握することなど不可能なので、一定のレベルに達した後は、前後の文脈からその単語の意味を推測して、文章を読み進めなくてはならないことも多い。
TOEFL-iBTに登場する専門用語を全て覚えることなど不可能なので、こうした推測が極めて重要になる。
しかし、「文脈から単語の意味を推測する」ことができるようになるのは、かなり高度な単語力と読解力を手に入れて初めて可能になるものだということを忘れてはならない。
例えば、TOEFL-iBTにありがちな医学に関する英語長文が出てきた時、一つの文に知らない医学の専門用語が3つも4つも出てきてしまったら、前後の文脈から推測できるわけもなく、あえなく撃沈することになる。
そんな時、なんとなく意味を知っている単語が混ざっていれば、「これはどうやら腫瘍に関する医学の英文っぽいな・・・」という前提を即座に把握し、ある程度それぞれの文・パラグラフの情報を推測することができる。
こうした前提を持っているか持っていないかは、TOEFL-iBTのリーディングなど、難易度の高い問題を解く際に、極めて大きな差を生むことになる。
単語王2202などで一般的な英単語の知識を完成させた後は、こうした幅広いジャンルの単語を、「なんとなく見たことある」とか、「なんとなく知っている」状態に持っていくのが、高スコアを取得するコツだ。
この「TOEFL TEST 必須英単語5600」には、地質学、天文学、医学、物理学など、さまざまな専門分野ごとにカテゴリ分けされて単語が掲載されている。
例えば、天文学のページを見ると、vernal equinox(春分)、eclipse(太陽・月の食)といったマニアックな単語が掲載されている。
こうした専門的な英単語が5600語も収録されているのだから、暗記するには気が滅入るが、1〜2回でもいいから目を通しておくのが重要である。
TOEFL-iBTでは、突然前触れもなく専門的な天文学に関する英文が出題されたりする。
そんな時に、少しでも「vernal equinoxってなんか天文学関連の単語だったよな・・・vernalが春だから・・・春分だっけ?前後の文は季節の変わり目の話をしているのかな?」といった推測を働かせることが可能になるのが大きい。
TOEFLテストも鬼ではないので、キーとなる単語の意味がわかれば、ある程度は英文全体を把握できるように作られている(あまりに難関な単語は、クリックしたら意味を見せてくれる)。
5600の専門用語を「一回見たことある」レベルにするだけでも、読むスピードは圧倒的に違う。
特にリスニングテストでは、前触れもなく恐竜に関する講義が始まったりするので、その時に化石や堆積物に関する専門用語に「聞き覚えがある」というのは極めて重要だ。
何も分からず聞き取れなければ、冒頭で置いてけぼりになってしまい、どんどん進んでいくリスニングの内容が何一つ分からずに終わってしまう恐れがあるからだ。
実際、私も単語王2202と、速読速聴・英単語シリーズをしっかりやった上で、1回だけ「TOEFL TEST 必須英単語5600」を通読してTOEFL-iBTテストの受験に臨んだのだが、リーディングは30点満点中29点を取ることができた。
基礎をしっかりと築いた上で、こうした専門用語をプラスアルファで見ておくことが、高得点の鍵である。
Photo credit: Deb Stgo via Visual hunt / CC BY