Pokemon Goの開発元として知られるNianticが、ポケモントレードの基礎となる非常に面白い技術の特許を2012年に取得していたことが分かった。
もし実際にこの特許がPokemon Goで使われた場合、トレードされたポケモンたちは、路線バスや電車、飛行機といった、現実世界の交通機関を使って移動することになるかもしれない。
現実世界の交通機関が、ポケモンGOのVR世界にも登場?
2012年に、Googleが「System and method for transporting virtual objects in a parallel reality game(並行現実ゲームにおけるバーチャルな物体の輸送システムおよび方法)」と題する特許を取得していたことがアメリカの有名サイトによって発見された。
Pokemon GOを任天堂とともに共同開発しているNiantic(ナイアンティック)は、当時はGoogle内にあったことから、実質的にはIngressなどNianticが開発する位置情報ゲームでの使用を想定して取得された特許だと思われる。
この特許は、仮想現実世界に、現実に存在するバス路線や飛行機をコピーし、仮想現実世界でのモノの取引に、これらの交通機関を使用するというものだ。
すなわち、ポケモンGOに当てはめれば、他のトレーナーと交換したいポケモンを、近所のバス停から出発させ、交換先トレーナーの近くの電車の駅にポケモンが到着するようなイメージだ。
あたかも自分が育てたかわいいポケモンに旅をさせるようなシステムで、世界観にマッチしており凄く良い。
単に近くにいるユーザーと、Bluetoothを介してポケモンをトレードしても味がないし、せっかくVR(仮想現実)技術を使っているのだから、VRらしいポケモントレードがあっても良いはずだ。
Pokemon Goにも使われるかも?Nianticの特許の詳細
アメリカの特許商標庁のホームページから、特許の全文を読むことができるため、詳しく見てみよう。
特許の要旨(Abstract)には、次のようにある。
特許に関する英文は、日本語として意味が通るように訳すのがとても難しいので、一部意訳が含まれることをご留意願いたい。
……The virtual world has a geography that parallels at least a portion of the geography of the real world. A method includes accessing at least one data source storing or providing data associated with the location of a real world carrier.
このバーチャル世界は、少なくとも一部が現実世界の地形に類似した地形を有している。[また、この]方式(method)は、現実世界の輸送機関の位置に関連するデータを蓄積・提供するデータソースにアクセスする機能を含んでいる。
The method further includes modifying game data associated with the parallel reality to transport at least one virtual object through the virtual world, such that the position of the virtual object in the virtual world is based, at least in part, on the data associated with the location of the real world carrier.
さらに、この方式(method)は、バーチャル世界を通して一つ以上の仮想物を輸送するため、並行現実と結びつくゲームのデータを、修正・変更する機能を有している。少なくとも部分的には、バーチャル世界の仮想物の位置が、現実世界の輸送機関の位置のデータに基づいているような機能である。
(Quoted from US Patent 8968099 / Dec 25, 2016)
すでに、ポケモンGoの世界は、現実世界の位置を反映してマップが作られており、道についてはGoogle Mapそのままであると言ってよいであろう。
したがって、前段に登場する現実の地形を反映した「The viertual world」は、すでに実現されている。
この特許は、さらに、単にマップを反映することを超えて、現実世界に存在する電車、路線バス、飛行機などの交通機関の動きまでも、ゲーム世界に反映してしまおうというのだ。
例えば、近所のバス停を10時に出発し、11時に渋谷に到着するバスの路線があったとすれば、このシステムが路線図や時刻表などのデータを収集し、現実世界を走っている渋谷行きのバスの時刻をゲームの世界に反映する。
単にマップだけでなく、電車などの交通機関が仮想現実世界に現れることで、よりリアリティのある仮想現実世界になっていく。
この技術をポケモンに応用するとすれば、VRゲームの新しい未来が見えてくる。
例えば、東京に住むトレーナーが、大阪のトレーナーにピカチュウを譲るため、朝10時にピカチュウを近所のバス停から送り出し、昼過ぎに関西空港で大阪のトレーナーがピカチュウを受け取るということも考えられる。
スマホで数回画面をタップしたらポケモントレード完了というよりは、非常に味があるポケモントレードだ。
仮想現実世界をポケモンが移動するのにも、実際に現実世界を移動するのと同じくらいの時間がかかり、駅や空港まで迎えに行かなくてはならない。
これだけリアリティがあり、なんとなく人間味のある仮想現実の世界観が、実現される日も近いかもしれない。
拡張現実(AR)の可能性を”拡張”し続けるポケモンGo
Pokemon Goは、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)の技術を、史上初めて大衆に受け入れられる形で商業化することに成功したとして讃えられることがある。
非常にマニアックな技術であるARやVRは、これまで日常生活に溶け込んだ形では活用されていなかったが、ポケモンの登場によって、現実世界にポケモンが現れ、スマホの画面越しにモンスターボールを投げつけるという行動を、多くの人の日常に取り入れさせることに成功したのだ。
今回の特許のように、AR(拡張現実)・VR(仮想現実)の世界を、よりリアリティが高く、人間味のあるものにする技術が普及すれば、一層これらの技術の進歩が加速化することが期待できるだろう。
世界中の多くの人々の日常生活を変えたNianticとPokemon Goが、これからどんな世界を我々に見せてくれるのか。
しばらくはポケモンの動向から目が離せない。