早め早めに
学部や大学によってシステムが違うが、一般的には以下のような書類が必要になることが多い。
- TOEFL
- GREかGMAT
- 推薦状3通
- Statement of Purpose (志望理由書)
- 学部の成績証明書
- (学部によっては)科目別GRE
- (人によっては)奨学金申請。
見てもらえばわかるように、試験勉強をする時間を含めると、出願にたどりつくだけで一苦労である。テスト勉強などを含めて準備に1年かかるとすると、今すぐに準備をし始めて全部スムーズに行っても、実際に授業が始まるのは2年後の9月である。大学院出願においては「早すぎる」ということはないので、全てを早め早めにやっていこう。
ネットで街の住み心地まで情報収集
アメリカ人でも大学に行くひとは少数派で、かつ学部によって状況がかなり違う。そのため日本から出願する場合は、得られる情報量は非常に限られてくる。もちろん教授や身近に留学した人がいれば相談することは可能だが、それ以外にもネットで情報収拾をすることが大切だ。アメリカの大学院に関するサイトがいくつかあり、その中でも非常に使われているのが、The Grad Cafeだ。このサイトでは合格状況、大学の雰囲気、周辺の家賃など色々な情報が手に入る。例えば、このページにはケンブリッジの住み心地に関して様々な人が書き込みをしている。
アメリカの大学院ってXXXだ!
情報収拾の際に気をつけておきたいのは、特殊な留学経験を真に受けないことだ。例えば、「アメリカの大学院生は週に3冊課題図書を読み、毎日平均15時間勉強する!」と言ったようなほとんどの人には不可能と思われる数字が並んでる留学体験記を読んだことがある人は多いのではないか?ハーバード大学のMBAのような特殊な環境ではそうなのかもしれないが、日本の大学といっても、東京大学法学部という天才中の天才が集まるような場所から、授業に行かずバイトだけしてても卒業できる大学があるのと同じで、アメリカにも色々な大学があることを念頭においておこう。
推薦状が集まらない場合どうするの?
断られることを考えて、必要な人数より多めに目星をつけておくことが大事だ。また、大学院出願を決めたら、できるだけ早く推薦状をお願いしにいこう。早めに聞くことで、推薦状を書く側も時間に余裕をもってかけるし、出願の戦略を一緒に立ててくれるかもしれない。また万が一足りない時に、何らかの対策を立てられると言うのも早めに聞くメリットだ。一般的には6~8週間前というが、個人的には半年以上前でもいいのではと思う。
万が一推薦状が足りない場合、出願自体できないことが多い。筆者は実際に推薦状が足りなかったので、出願が一年遅れてしまった。もし本当に推薦状がどうしても集まらない場合は、夜間学校のようなものに行くことで、教授とコネクションを作りお願いするか、推薦状がなくても入れる学校に行くと行った選択肢がある。
TOEFLって何点取ればいいの?
最低基準点は書いてあることがほとんどのため目標はかなり立てやすい。また基本的にTOEFLは最低基準点を突破したら、「高ければ高い方がいい」ということは(特に理系では)ないと一般的に言われているので、無駄に時間とお金を使わないのが賢明かと思われる。1点を争うようなものではないし、またTOEFLで点数を上げるくらいだったら、今の研究や仕事を一生懸命やって推薦状の内容をよくしたり、GREの科目別をやってる方がコスパがいいと思われる。また基準点をどうしてもギリギリ超えられない場合は、学校にメールしてみること。アメリカの合格基準は、点数で上から取っていくシステムではなくて、全体的に見て良さそうだっらオーケーという企業の採用試験に近いものなので、基準点超えなくても大丈夫なこともある。
GREって何点取ればいいの?
GREはあまりにも低いと足切りを食らうが、高得点でも特にプラスにはならない、というビミョーな立ち位置にいる。実際に何点必要かは大学や学部によって違う。例えば、理系の場合Verbalといういわゆる読解問題のようなセクションは、平均点さえ取ってれば超トップ校でも問題なかったりする。いくら理系で関係ないと言っても英語は非ネイティブにとって死ぬほど難しいため、ある程度の対策は必要であろう。
GREのライティングはScoreItNowというETSが出している公式の採点サービスがある。アルゴリズムで自動で点数を出してくれるシステムになっていて、実際の試験でも使われているため非常に正確な採点をしてくれるものと思われる。筆者はScoreItNowを通じで本番に備えて10回ほど過去問を解いた。ScoreItNowの採点は全て4か5で、本番の点数は4.5だったので、ScoreItNowはかなり正確なのではないかと思う。
またETSのサイトに無料のGREの過去問が2回分あるため、試験対策はそこから始めよう。
科目別GREの対策
学部によって異なるが、GREの科目別は物理や数学などでは必要になる。これは一般のGREと比べると高度な専門知識が問われる。大学院に行きたいという高い目標を持った人にとっては、「超難関試験」というほどのものではないが、対策を全くしないで受験したらほとんどの人は悲惨な結果になるであろうと思われる。科目別の試験のもっとも厄介な点は、試験回数や試験会場が非常に少ないことにある。年間3回しか行われてなく、年によっては関東に試験会場がないこともある。
アメリカ大学院留学のバイブル「DAGAP」
https://cs.stanford.edu/people/rkarthik/DAGAP.pdf
スタンフォードのコンピューターサイエンスで入学選考に関わっていた大学院生によるアメリカの入学選考システムのまとめ。これはコンピューターサイエンスでなくても、スタンフォードのような超トップ校に出願しなくても、必ず隅から隅まで読むこと。試験を基準とした入試制度にしか触れてこなかった日本人にとっては、アメリカの大学院入試はひどく複雑でややこしいもののように思われるが、DAGAPを読めばその疑問はかなり解決するはず。
結局どの書類が大事なのか?
日本人によくあるのが、結局どの書類がどれほど重要視されてるのかわからないため、不安に陥ってしまうというものだ。実際にアメリカで教授に聞いたこと、また様々なサイトなどで読んだ情報をまとめると以下のような順序になる。
- 最重要
- 推薦状、成績証明書
- 重要
- 科目別GRE
- あまり重要ではない
- GRE、SOP
- 合格不合格に関わることはない。
- TOEFL(*基準点を突破していたら)
この中でも推薦状は最強で、権威のある先生が推薦してくれた場合、他の項目全てを上回るほどの力があると思われる。もちろん、そんな権威のある先生が推してくれるような才能の持ち主ならば、いい成績を取ることは難しいことではないはずだが…
10段階でいうと、推薦状が10、成績証明書が9、科目別GREが7で、GRE、SOPが5で、TOEFLが3くらいなのでは、と思われる。以下にいくつかの注意点を述べておく。
- もっとも重要なものから抑えていくこと。
- 全ての項目を完璧にするのは時間の関係上不可能なため、優先順位をはっきりさせること。
- 例えば、TOEFLに固執して成績をおろそかにしてしまうというのは元も子もない。何が求められているのかをしっかり認識しよう。
- 極端な弱点を作らないこと。
- 例えば、学部の成績が良くても科目別GREがあまりにも悪いと、「すごい簡単な大学だったのかな?」とか、SOPがやたらめちゃくちゃだと「来る気ないのかな?」という誤解を生んでしまう。
出願校選びの落とし穴
出願校選びで頭を抱える人は多いのではないか?アメリカでは学部によってランキングが全く異なる。例えば、USNEWSによると、ハーバード大学にEngineeringのプログラムはなんと全米22位。ちなみに日本人には聞き馴染みのないパデュー大学は7位とハーバードよりずっといい評価を受けている。
出願校選びでもっとも大事なのは、留学をする目的は何かということを問う事ではないかと思う。例えば、卒業後に帰国後して転職するのが目標なのであれば、学部のランキングは高くなくても名前が日本でも知れ渡ってる大学に行っておけばいいのではという考え方もできる。逆に、アメリカに残り研究職をするのが目標であれば、日本での知名度はガン無視で、ランキングの高い方がいいという考え方もできる。
もっとも注意しなければいけないのは、滑り止めを決めるときに、「とりあえず州立なら入れるだろう」と行ったような間違った先入観を持たない事。先ほどの例では、22位のハーバードは優秀な生徒にとっては滑り止めになるかもしれないが、逆に州立のミシガン大学は全米トップ5に入っているため、どんなに優秀な生徒でも滑り止めになることはありえないだろう。
Statement of Purposeの校正サービス?
ネットの校正サービスを利用しよう。「SOP Proofread service」とググれば、色々なサービスが出てくる。中には、お金さえ出せば全部書いてくれるというとんでもないサービスもあり、それらは論外であることは言うまでもない。しかし3000円から5000円程度で、内容を変えずに自分が書いたSOPの文法や言い回しを直してくれるものがたくさんあるので、それらを利用するのがいいのではないかと思われる。