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大麻合法化の結果、10代の大麻使用率が急低下したことが判明

大麻合法化の結果、10代の大麻使用率が急低下したことが判明

アメリカコロラド州は、2014年1月に、マリファナ(大麻)を完全に合法化した。
大麻の合法化が何をもたらすのか大きな議論を呼んでいたが、最新のデータによると、今のところは悲観論者の恐れていたような事態は生じていないようだ。

アメリカ連邦政府系機関によって、2016年12月に発表されたばかりの最新の調査データから、米コロラド州における嗜好大麻の解禁が、特に10代の若者にどのような影響を与えたのかを分析する。




薬物の使用歴に関するアメリカ全土の訪問調査「NSDUH」

NSDUH(National Survey on Drug Use and Health)は、アメリカ全土の12歳以上の一般市民を対象に、年に1回行われる訪問調査だ。
連邦政府の薬物乱用・精神衛生管理庁(SAMHSA)が実施しているもので、67,500人ものサンプルを対象にした対面のインタビュー調査であることから、信頼性が高く、また貴重なデータを閲覧することができる。

調査項目は多岐にわたり、タバコの使用歴から、医療以外の目的での痛み止めや精神安定剤の使用歴、調査対象者の精神衛生情報までも把握することができる。
マリファナ(大麻)に関しても、過去1年間の使用歴、過去1ヶ月の使用歴を、州ごとに比較できるようになっている。

この度、2014-2015年の間に取得された最新のデータが公開されたことから、米コロラド州の大麻合法化の前後のデータを比較できるようになった。

嗜好大麻の完全合法化後、10代の使用率が急落

嗜好大麻が完全に合法化された2014年1月以降も含め、コロラド州の12歳から17歳の子どもの過去1ヶ月の大麻使用歴をグラフにすると次のようになる。

ちなみに、コロラド州では21歳以上しか大麻を使用してはならないので、大麻が合法化されていようとなかろうと、10代の大麻使用は禁止であることには変わりはない。

Marijuana after legalization

コロラド州は元々非常に大麻の使用率が高く、連邦の全体の使用率が8%以下で推移しているところ、常に10%を大きく超えてしまっている状態である。
特に近年は10代の子どもの大麻使用率の上昇に拍車がかかっていたが、嗜好大麻が解禁された2014年を機に、大幅に低下したことがわかる。

また、月間使用率だけでなく、過去1年間に大麻を使用したかどうかについても、12-17歳の児童の使用率は、合法化前後で20.81%から18.35%まで低下している。

10代以外の年齢層では一斉に大麻使用率が増加

同じデータを使って、各年齢層の合法化前後の年間使用率の推移を見てみよう。

まず、18歳から25歳の成人前後のグループでは、合法化前が43.95%であったのに対し、合法化後は45.24%と、使用したことのある人は増加している。
また、26歳以上について見ても、合法化前が16.80%、合法化後が19.91%と大幅に伸びている。

これらの他の年齢層でマリファナ常用者が増加しているのに対し、10代の若者の使用率が低下していることを見ると、嗜好大麻の解禁を訴える人々の「子どもの大麻使用を防止する最も良い方法は、大麻を合法化し、規制の下に置くこと」という主張が、俄然説得力を増してくる。

アメリカの国立衛生研究所は、大麻には実際は中毒性があり、大麻使用者のおよそ9%が中毒になると警告している。
若年期に大麻の使用を始めた場合は、中毒になる可能性がさらに高くなり、若年の大麻使用者の17%、6人に1人が中毒になりうるという。
タバコと同様に、若年期の大麻使用は厳しく禁止されるべきと言える。

アメリカのように、禁止されていても大麻が大量に出回ってしまっている状況においては、若年層の大麻中毒を防ぐために、合法化することも一つの政策オプションと言えるかもしれない。

大麻使用率を低下させた本当の要因は何か?

当然ながら、今回紹介したデータだけでは、本当に合法化が10代のマリファナ使用率の低下に資するのかは不明だ。
10代のマリファナ使用率には、社会のありとあらゆる要因が影響していると思われるため、合法化によってパーセントが低下したのか、それ以外の要因によって低下したのかを明らかにすることができない。

まず、真っ先に要因として考えられるのは、コロラド州内で、合法的に商業目的でマリファナを製造する者が増え、10代の子どもに違法にマリファナを提供するような闇市場が廃れたということだ。

これも合法化の恩恵と言えるが、コロラド州のマリファナ産業は、2015年に18,000人もの職を産んだ成長産業である。
これまでアンダーグラウンドな社会で製造・販売・流通してきたマリファナは、規制が困難であったが、これだけの産業がひしめき合って競争しているとなると、アンダーグラウンドで取引を行っているメリットがなくなってしまう。
結果として、年齢制限を守った合法な取引ばかりになるというわけだ。

また、他の要因としては、そもそも10代の若者の啓蒙が進み、マリファナを使うことを悪と考える子どもが増えている可能性もある。

ボストン大学のChristopher Salas-Wright助教授らの調査によれば、マリファナに対し強い非難をする12-14歳の子どもは、2002年には74%であったが、10年後の2013年には79%まで増えたという。

このように、様々な要因が考えられるものの、少なくとも、大麻合法化に反対する論拠としてよく挙がる「子どもの大麻使用率の大幅な上昇」という懸念は、真実ではないかもしれない。

About The Author

nipponomiaCo-Founder, Writer小松明
平成生まれ。神奈川出身。
米国でパブリック・アイビーの一つに数えられる州立大学への留学を経て、某旧帝大を次席で卒業。TOEIC満点。現在はNGO勤務。

英語の読解力にはかなりの自信があり、海外の学術論文からテック系ニュースまで、日々情報収集している。
主要な関心は日本、英米の社会保障制度。

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