日本とアメリカは昔から様々な形で非常に強い友好関係を結んできた。経済的にも、ハリウッド映画など文化的にも、強い影響を受けている一方で、実際にアメリカ人の友達がいる人はおろか、アメリカ人に中学の英語の授業以来会ったことのない人も多いのではないか。そんな日本人がアメリカに対して抱くイメージは様々あり、筆者もアメリカに移住するまでそれらを信じていたのだが、実はアメリカ人に対して抱いていたイメージには大きく間違っているものも多かった。そんな中個人的に驚いたものをまとめてみた。
日本の文化を知らないと、ハジをかく
これはアメリカ人に限らず、「外国では国際化が進んでいて、日本の文化についてみんな詳しいので、日本の文化を知らないと質問された時ハジをかく」というのは、新聞など様々なところでみたことがあるが、これは個人的には全くの勘違いである。この勘違いが発生した原因を推測すると以下のようなものが挙げられる。
- アメリカに留学した日本人が、教授など特殊な職業の人と話して、このような勘違いが生じた
- 筆者にもこの経験はあり、アメリカの大学に留学していた時の文学の教授が、源氏物語について非常に詳しくて、驚かされたことがある。ただ、相手は文学の教授なので、世界の文学について詳しいのは当たり前で、これを一般化して、アメリカ人は世界の文化に詳しいというのは極論であろう。
- 実際に普段あった人で、日本の文化を実際に知っている人はほとんどいない。
- 外国の文化に興味を持っていて質問をしてくる人はもちろんいるが、頭の片隅にのこされた昔の歴史の授業の記憶を適当に繋げれば答えられる範囲であることが多い。(例えば、侍はいつまで日本にいたのか→ペリーが来て江戸時代が終わったあたりかな、等)相手も別に正確な学術的な答えを期待しているわけではないことを念頭に置いておくこと。
- たまたま日本に関する知識を持っている人に遭遇した
- 例えば、日本に旅行したことがある外国人が、日本人の自分より日本のいろんな場所を知っていることは、しょっちゅうある。ただこれは逆も同じで、僕は旅行で様々なアメリカの大都市に行ったことがあるが、アメリカ人が全員そんなにいろんな場所に行ってるわけではない。
外人=アメリカ人=白人
これは、かつての僕もそうだったが日本人ではこの構図を頭の中で描いてしまう人が多いのではないか?外人=アメリカ人でないのは、説明するまもないだろうが、日本人ではこれが非常に根強く残っている人も多いのではないか?
また白人=アメリカ人の構図もよろしくない。黒人はアメリカにたくさんいるし、アジア人もたくさんいる。アジア人がアメリカ人というとなぜか違和感を抱く日本人もいるが、アジア系3世とかだと、両親ともにアメリカ生まれアメリカ育ちで英語しか喋れないという人も多い。逆に白人でも実は両親はヨーロッパ出身で、本人も母国語は英語じゃないとかいう人もいるので、人種だけで国籍を判断するのは危険だ。
アメリカでもこれはちょこちょこ話題になるのだが、「アジア人だから、アメリカ人じゃない」みたいな言い方をするとふつーに人種差別なので注意しよう。
アメリカで飛び級した天才
よくテレビとかでも「天才○○はアメリカで飛び級して大学に入学した」という表現が使われることがある。日本では、飛び級したことある人なんて聞いたことのないので、それをアメリカでしたのか!と衝撃を受ける人も多いだろうが、これはとんでもない勘違いである。
そもそもアメリカでは、飛び級する人は非常に多い。例えば、「AP」と呼ばれるシステムがアメリカには存在する。これは、高校生が受けられる授業で、一般的に大学の単位として換算される。つまり大学の授業を受けているのとあまり変わらない。アメリカの高校は4年なのだが、全国で100万人前後の高校4年生が何らかの形で「AP」を受けている。(リンク)
また、高校に籍を置きつつ大学に実際に行き大学の授業を受けられたりすることも多い。こういうシステムを利用して、大学を3年で卒業する人も少なからずいる。
もちろん優秀であることに変わりないのだが、日本で一般的に捉えられるほど、飛び級というのは特別なことではない。
アメリカの大学は入学は楽勝だが、卒業が大変
筆者は日本の大学に行っていないので、正確な比較はできないが、これもあまり正確には思えない。アメリカの大学でも、入学には高校の成績やSAT/ACTと呼ばれる、センター試験のようなものもありそれらを総合的にまとめると、いける大学は限られてくる。
例えば、「University of Illinois at Urbana–Champaign」という比較的有名な州立大学は、合格率59%で、84%が卒業している。
アメリカにいたら銃があちこちにある
これはきっと州によるはずだが、必ずしも正確ではない。大学の友人で、知っている限り銃を持っている人はいなかった。
ただ一つ言えることは、狩りをレジャーとして楽しむというのは、日本ではほぼありえないことだが、アメリカでは割と頻繁にある。
しかし銃には不快感を抱く人も多い。上のビデオはつまり「昔の銃ではいわゆる乱射事件により大量殺人は不可能だった。銃が変わったのに銃規制が変わらないのはおかしいのではないか」という内容だ。そんな銃規制を皮肉ったYouTubeビデオが、300万回近く再生されるなど、銃規制はアメリカでなかなかホットな話題である。
日本人が抱く様々な誤解をあげて見たが、外国について完璧な知識を持つことは、不可能に近い。そんな中大切なことは、「xx人だから○○だ」と決めつけるのではなく、知らないことはあるが、少しずつ学んでいこうという姿勢が大事なのではないかと思う。