米国女子高生がチャイナドレスを着た写真をアップして大炎上。その訳とは?

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4月下旬にアメリカ合衆国ユタ州のKeziah Daumさんがプロムと呼ばれる高校の卒業ダンスパーティーにチャイナドレスを着て参加し、その時の写真をツイッターにアップ。

「なんか高校生は楽しそうだな」くらいしか筆者は思わなかったが、このツイートは大炎上していて、先日ニューヨークタイムズやBBCなどでも取り合えげられるほどの注目を集めている。その理由は、最近アメリカで盛んに議論されている「Cultural appropriation」にある。

「Cultural appropriation」って何?

英語版Wikipediaによると「Cultural appropriation is a concept in sociology dealing with the adoption of the elements of a minority culture by members of the dominant culture」。つまり、「Cultural appropriation」もしくは「文化盗用」とは「社会的少数集団の文化を、その文化に属してない人が盗用すること」といったところだ。

つまり、ここで問題とされているのは、「アメリカの社会的マイノリティーである中国の文化からくる伝統衣装を、中国系じゃない人が着ていいのか」ということである。彼女の写真は、ある中国系のアメリカ人からのコメントがきっかけで大炎上し始めた。

テキトーに意訳すると、「俺の文化を、勝手にプロムドレスにするんじゃねぇ」といったところだ。「goddamn」というのは強調表現で、品のいい言葉ではない。

これに対して、Keziahさんは「I mean no disrespect to the Chinese culture. I’m simply showing my appreciation to their culture」と、中国文化への感謝、尊敬を表す意味で着ているのだと反論。

文化・人種の境目って?

このような問題はアメリカで非常に議論になることが多い。以前は、有名ファッション雑誌「Vogue」が白人モデルに和服を着せて問題になったり、人気歌手Katy Perryが、ライブで芸者の格好をして問題になった。個人的には文化や人種に関する話題は非常に難しく、その理由の一つに、線引きができないということが挙げられるのではないかと思う。

国際化が進んで着た現代社会ではそもそも「中国人」という観念さえ実は定義が難しい。例えば、中国で生まれ育った人、という風に定義してしまうと、生まれも育ちもアメリカの中国系アメリカ人はその定義から外れてしまう。炎上のきっかけになるコメントをした人も、中国系アメリカ人であるため、この定義は完璧ではない。じゃあ、親が中国人だったらいいのか、というとそう簡単にもいかず、例えば中国人と日本人のハーフで、生まれも育ちも中国という人はいるわけで、その人がチャイナドレスを着たからといって、問題にするというのも意味不明だ。

また、チャイナドレスのルーツを辿ると、実は満州民族の民族衣装であるため、中国人の多くは厳密的には、チャイナドレスの元となる文化に属していないという見方もできる。もちろんそこまで言いだすとキリがないのは明らかだ。

この系統の問題は実はアメリカで問題になるものの、侮辱されているとされている国では話題になることはほとんどない。先ほど挙げた、Katy Perryが芸者の格好をしたというのを日本文化に対する侮辱としてとらえた日本人は数少ないのではないか。実際にニューヨークタイムズも「Teenager’s Prom Dress Stirs Furor in U.S. — but Not in China」といった記事を書いているように、中国では全く問題になっていないため、別に問題ではないのではないかという指摘もある。

アメリカでは非常に話題に上がる「文化盗用」だが、明らかに侮辱している場合などを除いて、何でもかんでも文化盗用とレッテルを張る事に意義はあるのかは不明だ。

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